第54回滋賀県写真展覧会(平成27年度)

滋賀県写真展覧会審査結果

出品作品内訳

出品作品総数 応募者数 芸術文化祭賞・特選・入選数
612点 313人 140点

審査員

かじの こういち氏 [写真家・(公社)日本写真家協会会員(JPS)]
亀村 俊二氏 [写真家・(公社)日本写真家協会会員(JPS)]

入賞作品

総評

今年は、風景や人物、スナップ写真に至るまで、その瞬間でしかとらえることの出来ない写真ならではのパワーを感じる作品が多かったように感じています。また、応募していただいた方々の「意気込み」というものが全ての作品から感じられたというところで、大変に喜んでおります。
〝写真が持つ力〟を以て、作者が何を伝えたいのか、何を表現したいのかというところが、画面によく表れた作品が最終的に残りました。写真の力と表現力が一作品の括りにおいて十分に発揮され、重厚さを帯びた作品の数々。その中には、瞬時として直感が働くものから、時間を要して論理的に良さが溢れ出るものなど多様だったように思います。
同展覧会においては、回を重ねるごとに作品も良くなってきているとお見受けしておりますので「ますます邁進(まいしん)していただきたい」と、最後にお言葉を添えさせていただきます。

 

芸術文化祭賞

「わたしの麦わら帽子」 石田 麻子

「わたしの麦わら帽子」 石田 麻子 (守山市)

選評

作品のサイズとしてはさほど大きくはないのですが、少女の表情が喜びに満ち溢れ、平和といいますか、穏やかさのようなその場の空気感を画面から痛烈に受けました。技術的にピントもしっかりしていますし、表情、とにかく写真でしか表すことの出来ない一瞬が上手く切り取られた作品だと思います。

特選・滋賀県議会議長賞

第54回滋賀県写真展覧会特選「過ぎゆく」 折笠 さつき

「過ぎゆく」 折笠 さつき (守山市)

選評

コンセプト通りに作品が作られていて、作者がどのような思いで撮影したかという部分がよく伝わってくる写真です。もうほとんど使われていないであろう遊具を、パノラマ1枚に収めるのではなく、それぞれ場所に佇む様子を上手く3枚の組写真で表現しています。横長の構図、撮影時間帯、そしていずれは滅びてしまう遊具への心情が、具体的に写真の力として表れていると思います。

特選・滋賀県教育委員会教育長賞

第54回特選 「愛犬と共に」 小梶 富士雄

「愛犬と共に」 小梶 富士雄 (東近江市)

選評

夕暮れどき、一日の終わりに愛犬とともに散歩に出られたひと時の画図だと思うのですが、犬が飼い主を見つめる姿に、言葉が通じなくても互いへ愛や慈しみというもので深く繋がっていることが感じられるところに惹かれた作品です。犬の背中から頭にかけて柔らかな逆光が包み、同時に後ろに写る男女の光景にも温かみを得ました。

特選・滋賀県文化振興事業団会長賞

第54特選「無人駅」 横田 史代

「無人駅」 横田 史代 (東近江市)

選評

目を凝らすと、窓枠の中にコンバインに乗って作業する人の姿、その後ろに畑があって営みが垣間見え、ここが駅であることが目に飛び込んできます。とても洒落た構図で、3つの空間と床の日だまりを上手く配置していることに気付かされる作品です。

特選・滋賀県写真連盟会長賞

第54回滋賀県写真展覧会特選「古鎮に生きる」 新谷 教子

「古鎮に生きる」 新谷 教子 (東近江市)

選評

飼い主かどうかは分かりませんが、犬が懸命に後ろから付いて歩いているというところですね。犬と人との通じ合う意識といいますか心の働きのようなものが強く感じられ、この作品を選びました。カラー写真ではあるものの、比較的モノトーンに近い表現であるからこそ犬の表情というのが活きています。

特選・産経新聞社賞

第54回滋賀県写真展覧会特選「恵みの雨」 土肥 美帆

「恵みの雨」 土肥 美帆 (草津市)

選評

象の体が雨に濡れて黒光りし、それぞれの表情がモノトーンに近いダークな感じで絶妙に表現されています。3枚の写真を同じ色調でそろえ、額の選び方、縦の配置、対象物の大きさなど、見せ方もとても上手だと思います。たいへんセンスのある作品です。

特選・時事通信社賞

第54回滋賀県写真展覧会特選「未知への遭遇」 山岸 美佐恵

「未知への遭遇」 山岸 美佐恵 (大津市)

選評

撮影場所が、非常に面白いところで撮影されていますね。ドーム状という空間に点景で人物を入れ、見る人に「不思議」を感じさせるようなユーモアある作品だと思います。

特選・毎日新聞社賞

第54回滋賀県写真展覧会特選「たばこ畑」 園田 みちゑ

「たばこ畑」 園田 みちゑ (守山市)

選評

たばこの葉っぱを生産しておられる農家の畑らしいのですが、とにかくカタチ、模様としての面白さですね、そこに、ふっと目が留まりました。じっくり見ると、大事に育てられておられるという雰囲気も十分に伝わってくる作品でもあります。

特選・京都新聞賞

第54回滋賀県写真展覧会特選「父」 今井 三千織

「父」 今井 三千織 (守山市)

選評

タイトルの「父」気に入りました。農作業中のお父さんの手を撮影されたのでしょう。ご苦労されてきた、よく働いてきた、とても素敵な手ですね。モノクロームの表現も良かった点です。

特選・エフエム滋賀賞

第54回滋賀県写真展覧会特選「頂上へ」 小谷 博司

「頂上へ」 小谷 博司 (甲賀市)

選評

みんなが頂上目指し、懸命に登る砂丘。カラフルな服装と砂にできた足跡が絶妙なモザイク模様を作っています。ついつい横位置で撮りがちですが、作者は「縦に動くものは縦位置で撮る」という基本をしっかりと守っています。この写真を見る者が下から上へと目を運ぶ、動きのある作品です。

特選・BBCびわ湖放送賞

第54回滋賀県写真展覧会特選「サルとコトリ」 前波 誠郎

「サルとコトリ」 前波 誠郎 (草津市)

選評

形の異なったふたつの木目が左右均等に大きく配置されています。見る者が何かを連想しそうな写真です。モノクロームのコントラストと構図の力強さが目に飛び込んでくる、迫力ある作品です。

特選・朝日新聞社賞

第54回滋賀県写真展覧会特選「風の足跡」 藤田 俊則

「風の足跡」 藤田 俊則 (大津市)

選評

湖面に風が渡り、水面がざわつく様子。画面上方と下方では風によって違う波の表情があり、すがすがしさを抱きます。離れて見るとデザイン的面白さがあり、近くに寄るとまるで風の音が聞こえてきそうな、とても好感が持てる作品だと思います。

特選・共同通信社賞

第54回滋賀県写真展覧会特選「鉄道員」 吉村 紀夫

「鉄道員」 吉村 紀夫 (守山市)

選評

今は、蒸気機関車が現役で活躍しているという姿を見る機会も無くなりましたが、この機関車を影でしっかりと支えておられる鉄道員の方々の様子がうかがえます。愛を持って仕事をされていることが感じ取れる3枚です。

特選・NHK大津放送局長賞

第54回滋賀県写真展覧会特選「山河の目覚め」 福井 齋

「山河の目覚め」 福井 齋 (大津市)

選評

 手前に川の水面、中景にはススキの穂が朝陽を浴び、遠景には発光するかのような雲のベールからのぞく遠山の連なり。好条件を上手く捉えており、「これぞ、風景写真」と言わしめる作品です。川の中での撮影かと思いますが、流れを正面に受けることで力強さも加わり、最高の風景写真だと思います。

特選・KBS京都賞

第54回滋賀県写真展覧会特選「大いなる旋回」 井上 三央

「大いなる旋回」 井上 三央 (高島市)

選評

アクロバット飛行でしょうか、信じられないような角度から降りてきてまた上がっていく。しかも、下には結構近いところに山があり、撮影場所を考えると手前に高い山があるのだとすれば、本当に危険な飛行をしているにも関わらず、それを痛快に写し出しておられるので驚きました。

特選・読売新聞社賞

第54滋賀県写真展覧会特選「収穫のころ」 長谷川 哲夫

「収穫のころ」 長谷川 哲夫 (大津市)

選評

収穫時期、おそらく鎌で刈っておられるのでしょうか。そこに、ちょうど彼岸花が咲いて赤と黄色のコントラストが生まれ、とても綺麗ですね。手塩にかけて育てた稲を大事に収穫されていることが画面から伝わってきます。左下が少し暗くなっているのですが、それが返って中央部に視点を集める良さがあるのだと思います。

特選・中日新聞社賞

第54回滋賀県写真展覧会特選「2人の夏」タツヒロ

「2人の夏」タツヒロ (長浜市)

選評

 様々な色が混在する情景を完全なモノクロームで表現することで、花火と手前に写る2人のシルエットに視線が集まり、力のある作品になったと思います。また、男性の傾きが絵柄に動きを与え、とても新鮮な印象を受けました。